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2019-03-13

人頭税(じんとうぜい にんとうぜい)の話

人頭税石

宮古の民謡を学んでいく過程で、人頭税に付いて知っておくことは、避けては通れない宮古民謡の大事な歴史だと思っています。重く辛い話ですが、人頭税について綴りたいと思います。

人頭税とは

1609年の薩摩藩の琉球侵攻によって、琉球王国はその支配下に置かれ、薩摩藩からは重税を課されることになりました。

結果、財政難に陥った琉球王府が宮古・八重山の先島諸島へ課した税制が人頭税と呼ばれる税制です。

人頭税というのは、所得があろうがなかろうが、15歳から50歳までの男女を対象に、1637年(江戸時代 寛永14年)から1903年(明治36年)に廃止されるまでの266年間もの間、宮古・八重山の先島諸島と呼ばれる地域に暮らす住民を苦しめた悪税です。

世界で一番残酷な税だと言われるほどだと言います。

廃藩置県によって、沖縄県が置かれた際にも、先島諸島の人頭税は廃止されることなく、旧慣存置政策(きゅうかんぞんちせいさく)と言って、士族層への刺激を避けるために、人頭税という負担を人々に与え続けました。

ただ単に、処分で様々な特権を奪われた士族の不満を抑えるためだけに、先島の人々は苦しめ続けられたのです。

命がけの有志の働きによって、明治の終わりになってようやく、やっと廃止されることとなったのです。

その時の喜びは「張水のクイチャー」ではこんな歌詞が残されています。

張水のクイチャー

保良(ぼら)真牛(まうす)沖縄(うき゜な)から 上り参ばよ
ヨーイマーヌーユ 上り参ばよ

<訳>
人頭税廃止のニュースを保良村の真牛が持ってきた

張水のクイチャーは今でも宮古民謡と代表するクイチャーの曲ですね。

張水のクイチャー

漲水ぬ船着ぬ 砂んむなぐぬよ ヤイヤヌ
ヨーイマーヌーユ 砂んむなぐぬよ ニノヨイサッサイ

粟んななり米んななり 上りくばよ ヤイヤヌ
ヨーイマーヌーユ 上りくばよ ニノヨイサッサイ

島皆ぬ三十原ぬ 兄小達やよ ヤイヤヌ
ヨーイマーヌーユ 兄小達やよ ニノヨイサッサイ

ピラとらだカニヤ押さだ ゆからでだらよ ヤイヤヌ
ヨーイマーヌーユ ゆからでだらよ ニノヨイサッサイ

<訳>
漲水の船着場の白砂が
粟となり、米となって、上がってきたら
島中の三十もの村の兄さんたちは
ヘラや鍬をとることなく楽になるよ

宮古総合博物館
(宮古総合博物館)

年齢によって税額に違いはあったとは言いますが、個人の能力は考慮されることなく、体が不自由であっても、病気であっても、怪我をしていても、天地災害が起きても、それらは一切お構いなしに、男は穀物、女は織物を決められた量を税金として収めさせ続けられました。

その時代、江戸幕府の年貢は6公4民から、5公5民、4公6民とだんだん軽減されて行ったそうですが、人頭税を強いられた先島諸島では、八公二民にもなった重税だったと言います。

どれだけ一生懸命働いても8割を収めなくてはならないということです。税を収めさせる側からすれば、安定して税金を取れると言う、詐取する側だけにメリットがある悪税です。

たとえば、今の感覚で言えば、10万円を稼いで8万円を収めなくてはならないとすれば、、、。

実際に口減らしが行われたり、人頭税を巡っての悲話は宮古・八重山へ行けば幾らでも聴くことが出来ますし、私達、宮古の民謡を学ぶ者にとっては、その唄から辛く悲しい歴史を学ぶことになるのです。

人頭税石

人頭税石

人頭税石と呼ばれる石が平良(ひらら)の荷川取(にかどり)漁港近くにあります。賦計り石と書いて、「ふばかりいし」「ぶばかりいし」などとも呼ばれるようです。

この石よりも身長が高くなったら人頭税を課せられる、と言う目安になっていたと言われている恐ろしい石です。

大きさは143センチぐらい、今の時代だと小学校6年の平均身長が145センチほどもあるそうで、人頭税が課せられた、食べるものも無かった苦しい時代と比較することは出来ないとは言え、悲しい話です。

足を切った、そんなとんでも無い話を島のおじぃから聞いたこともあります。

人頭税石

とは言え、先島諸島では人頭税課税の準備の為に事前に戸籍調査なども行われたと言う記録もあり、人頭石などは必要なかったとの話も有ります。

では何故、こうして人頭石なるものが今もこうして残されているのか?

色んな説が有りますが、

「忘れてはならない歴史」

を心に刻むために「人頭石」が存在するんだという説が説得力があるなと思っています。

現に、こうして民謡という縁があって人頭石を見に行くことで、島外の私達が人頭税のことを知ろうとするきっかけが生まれる訳ですから。

まとめ

この様な辛く悲しい歴史の中から宮古の民謡の多くは生まれています。

多くの唄の歌詞に「世や直れ」と言う言葉が使われている意味を考えると、胸が締め付けられる思いがありますね。

豊年の唄

今年から始みゃしよ
弥勒世ぬ実らば
世や直れ
ヨーイティバ
ヨーイダーキヨー
揃いどぅ美かぎぃさぬ 世や直れ

今時まつ粟ぬどぅよ
十月まつ米ぬどぅ
世や直れ
ヨーイティバ
ヨーイダーキヨー
揃いどぅ美かぎぃさぬ 世や直れ

<訳>
今年まいた作物が豊作になれば
暮らしもよくなるよ
色々揃えることができて
暮らしも良くなるよ

今まいた粟や十月にまいた
米が実れば、暮らしもよくなるよ
色々揃えることができて
暮らしも良くなるよ

神秘的な宮古島のの文化を民謡から学ぶことで、更に宮古への旅が楽しくなるのは間違いないと思います!

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